
多くのヘッジファンドの投資スタンスは、リスクヘッジをしながら、積極的に収益を狙いにいく運用を行います。ヘッジファンドの投資戦略は、大きく分けて3種類の投資型があり、全12タイプの投資戦略があります。
裁定取引型
転換社債アービトラージ
転換社債の価格の歪みを狙ったヘッジファンド。転換社債やワラント債などを買う(ロング)一、同銘柄の「株式」を同量、同時に空売り(ショート)して利益を得る手法。
債券アービトラージ
割安な債券と割高な債券を同時に同量売買する。割安債はロング、割高債は空売り。両者の価格が正常値に回帰した時点で、同時に同量決済する手法。
買取アービトラージ
買収が発表された企業の買収実行価格と実際の価格に生じた差額を収益とする投資戦略。リスクは買収が白紙になると損失がでる。
株式マーケット・ニュートラル
株式を買いと売りを同時・同量投資して、市場に対して中立を保つ運用手法。
相場志向(ディレクショナル)
ショート・バイアス
原則として買い(ロング)よりも売り(ショート)が多いポジションで運用する。反対はロングバイアス。
株式ロング・ショート
割安株を買って(ロング)、割高な株を空売り(ショート)することで利益を追求する戦略。
グローバル・マクロ
90年代に主流だった投資手法で、マクロ経済の動きを予測し、マーケットの資金の動きを予測。為替・株式・債券などあらゆる商品に投資し利益を得る。
マネージド・フューチャーズ
株式や債券など伝統的運用商品に対して、商品指数や金融先物指数に投資。トレードシステムによる売買で運用する。
運用特化型
エマージング・マーケット
新興市場が投資対象となるヘッジファンド。ボトムアップ戦略が多い。
イベント・ドリブン
企業合併、新規上場、経営破たんといった特殊な状況(=イベント)を対象とした投資戦略で、さらに3つの戦略に分けられる。
買収アービトラージ
被買収企業の買収前の市場価格と、実際に買収が発表された場合の買収実行価格との差額を狙って投資します。買収が実現すれば大きな利益が得られるものの、買収計画が流れてしまうと大きな損失になる。
ディストレスト戦略
経営危機に陥っている企業をターゲットに投資し、企業の経営が回復して利益を回収する方法や、実際に破たん手続き中の企業の高金利債券や銀行ローンなどをターゲットに利益を確保する方法などがある。
マルチストラテジー
企業のイベントをメインに、手法に制限を設けずに投資する戦略。
ディストレスト証券戦略
経営破たんの危機にあるような、経営上の困難を抱えている企業が投資対象。企業価格の改善を待って収益に変える手法。
マルチストラテジー
投資手法を限定せずに、そのときのイベントや状況に応じた投資手法を戦略とする。
※アービトラージ(Arbitrage)とは
アービトラージ(=裁定取引)の意味は、同じ価値を持つ商品の価格差を利用して、利鞘を稼ぐ取引のことをいいます。