ヘッジファンドのリスクヘッジ

ヘッジファンドはその名の通り、リスクをヘッジする(防止する)ことを意識して投資を行います。リスクには様々な種類がありますが、株式投資での運用において大きなものに個別企業のリスクと市場全体のリスクがあります。

個別企業リスクについては、例えば東京電力や東芝などのような安定企業と思われていた会社が突如として経営危機になる場合があります。

市場全体のリスクはリーマン・ショックのような世界的な金融危機が挙げられます。いわゆるインデックス投資では市場リスクをそのまま全面に受けてしまうため、不況時には時価が大幅に下落します。一方、ヘッジファンドでは分散投資によって個別企業のリスクを抑え、空売りや指数の先物・オプションを使ったショートポジションを形成することによって市場リスクを抑えます。

分散投資によるリスクヘッジ

主に個別企業リスクを抑えるために、例えば株式に投資する場合、全ての資産を1社の株に投資するのではなく複数の銘柄に分けて投資をします。これによって投資した会社が偶発的な理由によって大きく株価が下落しても、ポートフォリオ全体としての下落幅は限定的になります。しかしながら過剰な分散投資は収益率を減少させることに繋がるため、適切な銘柄数に制限し分散と集中のバランスを取ってポートフォリオを形成する必要があります。

指数先物・オプションの活用によるリスクヘッジ

リーマン・ショックのような市場全体の下落に備えて、TOPIXや日経平均株価の先物やオプションを活用してポートフォリオ全体の下落リスクを回避します。ポートフォリオの構成内容にあった指数を採用し、投資金額全体をカバーすべくショートポジションを保有したり、指数との個別銘柄の相関性を加味したベータ・ヘッジと呼ばれる手法を採用したりします。いわゆるマーケット・ニュートラル戦略においては市場リスクを完全に排除することを目指します。しかしながら市場リスクを抑えることができる反面、好況時の収益機会を逸することになります。

リスクヘッジとリスクテイク

リスクが全て悪いものであるかの如く、判で押したように全てのリスクをヘッジすることは必ずしも望ましいとは言えません。例えば指数のショートポジションを持つ場合にはポジション形成にコストがかかるため、その分収益率を悪化させます。また好景気にマーケット・ニュートラル戦略で投資をしていては千載一遇の収益チャンスをみすみす逃すことになります。

優れたファンドマネージャーは個別銘柄の分析はもちろんのこと、世界中の政治・経済状況や金融市況、他の投資家マインドを把握し、適切なリスクヘッジと積極的なリスクテイクのバランスを取れる判断力が必要です。投資のおける「攻め」と「守り」の両方を、それぞれのバランスを考慮しながら取り仕切る能力が求められます。

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