
タックスヘイブン(tax haven)とは、法人税や所得税といった課税が、一般的な国と比べて著しく低い(あるいは非課税の)国や地域のことを指します。
ヘイブン(haven)とは「避難所」を意味し、日本語では「租税回避地」と呼びます。※heaven(天国)と混同しないよう注意
代表的な場所としては、モナコやケイマン諸島、バミューダ諸島などが挙げられる他、中東のドバイ、アジアでは香港やマカオ、シンガポールなどが挙げられます。
タックスヘイブンとなっている国や地域では、外貨の獲得や金融産業の発展を図っており、税制度の優遇に加えて、会社法などの面でも規制が緩く、外国企業の誘致や富裕層などの移住が進んでいます。
タックスヘイブンの問題点とは
タックスヘイブンは、それ自体は一切違法ではありません。その国や地域の経済政策の一つであり、なんら問題がありません。
しかし、その制度を「悪用」し犯罪の温床になる可能性が高いという懸念があることも事実です。その一つが「 マネーロンダリング 」です。
マネーロンダリングとは、資金の出所を不明瞭にすることで、犯罪等で得た資金を洗浄し“綺麗な”お金にすることを言います。
このマネーロンダリングの例のように、犯罪に利用されやすく温床となってしまいがちなのが、タックスヘイブンの問題点です。また、先進国にとっては、得られるはずだった税収が海外に流出するという懸念もあります。
そのため、先進国の政治家は、タックスヘイブンへの企業の流出を食い止めるべく制度の改正などを試みているのです。
パナマ文書とは – 何が問題だっだのか –
パナマ文書(Panama Papers)とは、パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ(Mossack Fonseca)」から流出した文書で、過去46年の約1,150万件にも及ぶ取引のデータのことです。
この機密情報が流出したことが非常に問題になりました。
この文書の内容は、2015年8月に匿名でドイツの新聞社にリークされ2016年4月に内容が公表されましたが、この「モサック・フォンセカ(Mossack Fonseca)」がタックスヘイブンへの会社設立などを手がける法律事務所であったため、事実上、タックスヘイブンへ租税回避している人物が明らかになってしまったことになりました。
パナマ文書において問題とされたのが、そこに各国の著名人や政治家の名前が明らかになったことです。
特に一国の首相などが、タックスヘイブンに資産を持っていることに注目が集まりましたが、これは彼らが国内の財政のために課税を行なっていることや、国内での事業を推進していたからに他なりません。
国民には納税を義務付けている一方で、自身の資産はタックスヘイブンに避難させ、納税の負担を軽減している。ここに対して、様々な反発が起こり、批判が集まりました。
ヘッジファンドの課税について考える
それでは、ここで資産運用とタックスヘイブンの関係について考えてみましょう。
まず初めに、タックスヘイブン(租税回避地)において資産運用をすることは、一切問題ありませんし違法でもなんでもありません。先のパナマ文書の例においても同様です。パナマ文書の件については、そこに登場した人物に政治家が多かったことについて物議を醸したにすぎません。
むしろ個人の視点で言えば、この「課税」という負担が無い分、より大きなリターンを得る可能性が高くなります。
特にヘッジファンドのような金融事業では、このような制度をうまく活用できるかどうかによって、結果に大きな差が出てくるのです。